「Passarim(パッサリン)」は、
アントニオ・カルロス・ジョビンが晩年に遺した
とても繊細で、
美しい空気をたたえたアルバムです。
タイトルの「Passarim」は、
ポルトガル語で“小鳥”のこと。
自然を愛し、人生を深く見つめたジョビンが、
自由や郷愁をこの一曲に重ねています。
静かなピアノとクラシックギター、
柔らかなコーラスが重なり合い、
まるで森の奥で小鳥のさえずりに
耳を澄ませているような、
静謐な世界が広がります。
歌詞に描かれるのは、
とどまることなく空を舞う小鳥の姿──
それは、安らぎを求めながらも飛び続ける
魂の象徴のようにも
感じられます。
家族とともに録音されたこのアルバムには、
晩年のジョビンのやさしさと誠実さ、
そして自然への深いまなざしが
丁寧に込められています。
疲れたとき、心を静かに整えたいときに
そっと寄り添ってくれる一曲ではないでしょうか。
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